
在来軸組構法や枠組壁構法では難しい開放的でスタイリッシュな空間を実現できるのが「SE構法」です。
今回は、木造SE構法の特徴や耐震性・大開口などのメリットから、事前に知っておいていただきたいデメリットまでわかりやすく解説します。
最近注目が高まっているBIMを活用した設計の重要性についても紹介しますので、「SE構法住宅の受注を増やしたい」「相見積もりやコンペで勝てるプランニングにしたい」という方はぜひ最後までご覧ください。
● CADデータをBIMへ変換することで、設計施工業務を効率化でき、さらに施主様にもメリットを付与できます。
●「株式会社KINO BIM(旧株式会社MAKE HOUSE)」は、SE構法を提供する「株式会社エヌ・シー・エヌ」のグループ会社で、木造住宅のBIMデータ・3Dパース作成サービス等を通して企業様のDX化をサポートしております。

SE構法とは、一定の強度が確保された構造用集成材と専用の接合部材を用いて、自由な間取りと高い耐震性能を実現させた比較的新しい構造です。
木造戸建住宅に加えて、近年は店舗など中規模な公共建築物への採用事例も増えています。
SE構法が多くの現場へ採用されている背景には、性能面におけるメリットがあります。
地震の水平力によって建物が倒壊しないためには、耐力壁のバランスよい配置が重要です。
しかし、耐力壁で建物を強固にするほど、柱と梁などの構造接合部に回転力が加わって負荷がかかり破損するリスクがあります。
構造体の接合部が破損すると家が倒壊するリスクは避けられません。
また、SE構法の耐力壁は筋交を入れた在来軸組構法の耐力壁(片面)と比較すると、数倍の耐震性を発揮できる点も強みです。
SE構法の耐力壁は、筋交を入れた従来の片面耐力壁と比較すると3.5倍もの性能を発揮できるため、それだけ自由なプランニングが可能となります。

従来の在来工法は一定以上の耐震性能を確保するために耐力壁を必要としますが、SE構法は最小限の耐力壁で大開口・大空間を実現できます。
従来の在来軸組構法では梁の高さによって飛ばせる間口の距離が決まりますが、SE構法は梁高さを抑えて広い空間の強度を確保できる点がポイントです。
例えば、設計プランによっては大きな空間を維持したまま「耐震等級3」を取得することも可能です。
SE構法は一定の強度を確実に実現できるため、2台駐車できる間口の広いビルトインガレージや、開放的で大きな窓のついた吹き抜けリビングをプランへ取り入れたい場合に採用されます。

また、防火地域や準防火地域など防火規定の対象となる建物においても、燃えしろ設計※を採用することにより、梁などを“表し(あらわし)”にするプランを実現できるかもしれません。
※燃えしろ設計:構造計算上必要な木材の断面寸法に、火災時に焼失する分の想定厚さを加える(木材を太くする)設計手法。(参考:国土交通省|防火被覆の効果を考慮した燃えしろ設計法の合理化に資する検討)
条件次第では、持ち出し長さ1,500mものオーバーハングや4mまでの開放的な天井高を実現可能です。
※プランの実現性については諸条件によって異なります。ご了承ください。
2025年の建築基準法改正に伴い、小規模の木造住宅や建築物を対象に壁・柱の基準が見直されます。
しかし、これらの建築物には必ずしも詳細な構造計算が義務化されている訳ではなく、必要壁量や柱が負担可能な床面積の簡易的な計算のみで建築確認申請できてしまうのです。
地震や台風に強い家にするためには、「鉛直荷重・風荷重・地震荷重」に対する緻密なシミュレーションが必要で、地盤の状態や層間変形・偏心率・剛性率を踏まえたプランニングが欠かせません。

SE構法は、建物を構造設計する段階でこれまでに実際発生した大地震の地震波データをインプットさせて、揺れによる建物の損傷有無を検証します。
実際の建物を揺らしてシミュレーション実験する方法もありますが、建物形状や間取りプランによって揺れ方は異なるため、コンピューター上の検証は欠かせません。
SE構法はラーメン構造である鉄骨造と似た特性を持ちますが、使用する構造用集成材は鋼材と比べて熱伝導率(※)が低いため、外気温の影響を受けにくく高い断熱性を発揮します。
※熱伝導率:熱伝導とは、物質が移動していない状態で熱が高温から低温へ移動する現象を指し、熱伝導率が低い物質は「熱を伝えにくい=断熱性が高い」ことを示す。
| 素材 | 熱伝導率の目安 W/mK |
|---|---|
| 鋼材 | 53 |
| 木質合板 | 0.16 |
SE構法は将来リノベーションする際に間取り変更や開口部の移動などに対応しやすく、ライフスタイルや家族構成の変化へ柔軟に対応できる点もメリットです。
木造在来工法は耐力壁によって強度を確保するのに対して、SE構法は強度の高い柱梁の仕口性能と耐力壁の組み合わせによって一定強度を確保できます。
このように、構造と仕上げを切り分ける手法をSI(スケルトン・インフィル)と呼び、この考え方はこれまで主に共同住宅へ採用されてきましたが、最近は戸建住宅にも広まりつつあります。
参考:国土交通省|スケルトン・インフィル住宅(SI住宅)の普及促進に向けた環境整備
長寿命な構造体を残し、生活する中で劣化する表層部分をリノベーションして、何世代にも渡って住み継げる住宅を実現できます。
2021年に施行された「木材利用促進法(脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律)」により、強く推し進められているのが「建物全般の木造化」です。
その背景には「木材利用による森林の活性化と炭素吸収量の増大」があり、SE構法は木造の可能性を高める構法として注目されています。
SE構法は株式会社エヌシーエヌが独自開発した構法で、登録工務店のみが施工します。
そのためノウハウやマニュアルを自社で構築する必要がなく、建築技術・マニュアル構築に対するコストパフォーマンスの高さは大きな魅力です。
高耐震な住宅を大手ハウスメーカーと比べてリーズナブルな価格で提供できるケースは少なくありません。
SE構法住宅の設計図書や3Dパースの作成、さらにプレカットCADデータのBIMデータ変換を承っております。

SE構法は、耐震性とプランの自由度を兼ね備えた住宅を実現できます。
しかし一方で、採用する前に知っておくべきデメリットがあるので注意しましょう。
SE構法は、在来軸組構法や枠組壁構法と比べると、建築コストが高めな点は否めません。
ただしこのコストは広告費や人件費など建物本体と直接関わりのないコストではなく、耐震性や施工精度、品質の高さによる価格差です。
将来リノベーションする際の制限を少なくすることも可能なので、改修しながらずっと住み続けられる可能性がある点を踏まえても、コストの差は多くの方からご理解いただいております。
SE構法は登録工務店のみプランニング・施工・現場管理できます。
そのため、どの会社にも相談できる訳ではありません。
SE構法の家を建てられる会社を限定している理由は、高い精度と品質を保つために構法を熟知する必要があるからです。
SE構法の設計データをBIMモデルに変換することで、設計・施工のプロセスだけではなく建物運用においても活用できる“情報資産”となります。

SE構法に関してお客様からよくいただく質問を紹介します。
「構法」は、建築設計における柱や梁などの木軸材の構成方法を意味するのに対して、「工法」は、実際の工事などにおける方法を指します。
そのため、SE構法の名称で統一しています。
SE構法による注文住宅の費用相場は「90〜120万円/坪」程度です。
2024年の木造住宅(持ち家)の全国平均建築費用は68.3万円/坪なので少々高めですが、大手ハウスメーカーの高耐震住宅を新築するのにかかる価格目安は90〜150万円なので、SE構法のクオリティを考えると、決して高すぎる金額ではありません。
参考:国税庁|地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)【令和6年分】
SE構法は、台形などの不整形な土地に合わせたプランや地下室などの要望にも対応可能です。
また、鉄骨造のように大掛かりな重機は必要ないため、狭小地や都心部などの住宅密集地での施工にも適しています。
1階に2台分のガレージがある住宅を建てるためには、十分な開口幅と耐震性が求められます。
SE構法とRC造を組み合わせると、間口9m(3台分)のガレージハウスも実現可能です。
参考:株式会社エヌ・シー・エヌ|ガレージハウスで快適な一戸建て生活を!設計ポイントを解説
SE構法を採用すると、鉄骨造よりも建築コストを抑えながら、耐震性と大空間の両立が可能になります。

BIMとは、図面やプレゼン資料、確認申請資料の作成を1つのシステム上で作業でき、建築士・施工者・建築主で同じ情報を共有できる情報マネジメントシステムです。
SE構法においても、BIMデータへの変換は可能です。
部材データをBIMデータに変換することにより、材料製作指示に留まらず、プレゼン資料作成やコスト・工程管理まで派生させられます。
2D図面データをBIMへ変換することで、精巧な3Dパースや360°VRを作成できて、製造加工用のプレカットCADデータを木造躯体モデル・意匠モデルと重ね合わせて干渉チェックすれば、人為的な設計ミスを激減できる点もポイントです。
さらに、施主様が住み始めてからは設計施工時に蓄積されたデータをメンテナンスに活用できるため、相見積もりやコンペにおいて他社と差別化したい方にこそ「BIMの活用」をおすすめします。
ただし、BIMを導入するには設備を整えるためのコストと使いこなすための習得時間が必要です。
そのため、すぐにBIMを業務へ取り入れたい方は“プロ”にデータ作成を任せましょう。
BIMデータの作成を外注すると、導入や社員教育にかかるコストがかかりません。
本格的なBIMへの業務移行を前に、特定プロジェクトにBIMを取り入れてリアルなデータを使いながら社員研修する企業様も増えています。
▶︎おすすめコラム:「木造BIMとは|KINO BIMが目指す業務フローの課題解決と実現に向けた開発ロードマップ」
▶︎おすすめ記事:「プレカットCADデータをBIMデータに変換するツール」


株式会社KINO BIM(旧株式会社MAKE HOUSE)は、SE構法を開発した株式会社エヌ・シー・エヌのグループ会社で、木造住宅のプレカットCADデータをBIMへ変換するサービスを提供しております。
SE構法のプレカットCADデータをBIMモデルへ変換すると、干渉チェックに使用できたり、プレゼン用資料としても活用できる点がポイントです。
弊社では、以下のご依頼も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
▶︎BIMで作成した意匠図見本はこちらからご覧いただけます。
SE構法は、従来の木造住宅では実現が難しい「高耐震+自由なプラン」の両立が可能な構法です。
SE構法のプレカットCADデータをBIMへ変換することで設計施工業務を効率化できるだけではなく、施主様にとっての“情報資産”も提供できます。
しかし、導入コストや技術の習得などが障壁となり、なかなかBIMを実務に取り入れられていない企業様は少なくありません。
そこでおすすめするのが、本格的に導入する前に特定プロジェクトのBIM化をプロに任せる方法です。
株式会社KINO BIM(旧株式会社MAKE HOUSE)は、建物の設計・デザインに関する知識や技術を持つスタッフがBIMデータの作成をサポートいたします。
「BIMについて詳しく知りたい」「BIMでどのように業務の可能性が広がるのか知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。